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二十四章 「心の支え」

Auteur: 桃口 優
last update Dernière mise à jour: 2025-09-22 02:36:34

 苦しみの真っ只中にいる人にとって、本当に必要なものとはなんだろう。

 その人の心を支えられるものはなんだろう。

 『優しさ』だけじゃ、まだ足りない気がした。

 その時はきっと冷静にもなれないし、何かを正しく判断することも難しいだろう。苦しみの淵で一人でなんとか立っていられているだけなのだから。

 その状態だと、優しさを受け取ることも難しい。

 何もかもが無駄だったと頭が真っ白になっているから。

 心にゆとりがないことが多かった私はそのことがよくわかる。

 そんな時にも、心の奥まで響くものってなんだろう。

 突然『光り』という言葉が頭に浮かんだ。

 前触れもなく、そんな言葉が心にすーっと落ちてきた。それはとても不思議な感覚だった。

 でも、嫌な感覚ではなかった。

 もし全てを照らしてくれる『光り』のようなものがあれば、きっと人は苦しみにも耐えることができる。いや、もしかしたらそもそも苦しみと戦うことが間違っていて、それ以外の道があるかもしれない。

 それがきっとその人の力となり、さらには心を救ってくれるものとなる。

 でも、何が『光り』となり得るのだろう。

 その答えを見つけるために、私は今まで辛い時何があったから頑張ることができていたか考えることにした。

 自分が感じたことなら思い出しやすいだろうし、その時それでうまくいったのなら今後苦しくなっても何かの力になることがあるかもと思った。

 それは、『言葉』だった。

 記憶を辿るのに、時間がかかったけどしっくりくるものが見つかった。

 基本的に一度ではわからなかったりできない私に、何度も何度も同じ言葉で励ましてくれた人がいた。そんな人は多くはいなかったけど、まるでパーソナルトレーナーのように私のことをいつも気にかけて言葉をくれた。また、言葉を言ってくれる人は誰でもいいわけではない。私のことを本気で考えてくれている人限定だ。

 その一人に、もちろん彼もいる。いや、私にとって彼が誰よりも一番大きな存在だ。

 人によっては同じことを何度も言われることを、嫌に思ったりプレッシャーに感じる人もいると思う。

 でも、私は逆にさっきの条件に当てはまる人にそうされると支えられている気がして、辛い時も頑張ることができていた。

 『光り』となり得るものは、きっと一つじゃないから、私に合うものはこれなのかなと思った。

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